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日本文学
極東、極北、極寒の街の大学で教鞭を取るアジア系外国人。おそらくこれまでの日本文学にほとんど存在しなかった舞台設定と主人公。「ロシアに住んでも良いことはない」「ここはロシアだから全部うまく行くよ」。驚くほど自由に絡んでくる街の人々と主人公が、ひたすら酒を飲むだけのエピソードを読まされているはずなのに、季節の移り変わりがやがて訪れる別れの時を想起させ、安ワインを買い足す行為ですらいつしか切ない痛みを伴い胸に迫る。そこには大掛かりなスペクタクルやミステリーはない。だからこそ、この小説は正真正銘の純文学であり、短い永遠を大切に封じ込めた青春物語の快作なのだ。福島拓哉(映画監督)