商品説明
日本エッセイ・随筆
【内容紹介】
島崎藤村にはじまり、野間宏、西光万吉、大西巨人、中上健次……文芸誌『革』と、明治から現在までの部落解放文学を丁寧に追い巨細に論じた比類ない試み。日本文学史において初の本格的解放文学論であると同時に、真の解放を希求しつづけてきた著者自身の部落解放論の集大成。
【目次】
凡 例
I 解放文学の軌跡
大西巨人と部落差別問題──「黄金伝説」と『神聖喜劇』
はじめに 解放文学の可能性
第一章 大西巨人「黄金伝説」の要約
第二章 「黄金伝説」の時代
第三章 部落、差別との出会い
第四章 「黄金伝説」の評価
第五章 中野重治、土方鐵の批判
第六章 「黄金伝説」から『神聖喜劇』へ
第七章 軍隊と部落差別
第八章 人間の存在の尊厳をめぐって
第九章 真の自立と連帯のあり方
おわりに
自然主義の精神──徳田秋声から中上健次、そして善野?へ
はじめに
第一章 人種主義の刻印──『藪こうじ』
第二章 底辺を生きる民衆への視座──『あらくれ』
第三章 「部落問題文学」としての『縮図』
第四章 徳田秋声から中上健次へ──『鳳仙花』
第五章 解放文学と「秋声リアリズム」
おわりに
水平社創立宣言の世界的位置──セゼール、サルトル、ファノンを手がかりに
はじめに
第一章 同時代の思想と表現
第二章 水平社創立宣言への序曲
第三章 「特殊」の中の「普遍」
第四章 水平社創立宣言の批判と回収
おわりに
島崎藤村『破戒』をめぐる諸問題
はじめに
第一章 『破戒』に対する共感と反感
第二章 世紀転換期の文学としての『破戒』
第三章 告白の評価をめぐって
おわりに
部落問題文学の前進と停滞──伊藤野枝、西光万吉、島木健作、梅川文男の作品から
はじめに
第一章 全国水平社創立の序曲──伊藤野枝「火つけ彦七」
第二章 闘争の文学──西光万吉の戯曲『浄火』
第三章 連帯の思想化の途絶──島木健作『黎明』
おわりに
戦後の解放文学への視座──中上健次『熊野集』を手がかりに
はじめに
第一章 開発、「市民」「市民社会」との対峙
第二章 部落解放の戦略
第三章 ネグリチュードとの共振
おわりに
野間宏と被差別部落──『青年の環』を中心に
はじめに
第一章 野間宏と部落差別問題
第二章 部落解放運動への期待と一体感
第三章 『青年の環』の部落──固有性と普遍性
第四章 差別する側、差別される側の関係をめぐって
おわりに
大西巨人と部落解放論
はじめに
第一章 「分断せられた多数者」
第二章 「部落解放を『国民的課題』にする一つの有効不可欠な道」
第三章 「コンプレックス脱却の当為」
第四章 部落解放論としての『神聖喜劇』
おわりに
「狭山事件」と竹内泰宏『人間の土地』
はじめに
第一章 「狭山事件」と『人間の土地』
第二章 地域開発と部落
第三章 文学者としての想像力
おわりに
土方鐵と〈われわれの文学〉
はじめに
第一章 〈習作的作品〉の時代──「荊冠の痛み」
第二章 被差別者の心理の探求──「地下茎」
第三章 〈われわれの文学〉の行方──「浸蝕」と「妣の闇」
おわりに
文芸誌『革』の時代
はじめに
第一章 文芸誌『革』の五十年
第二章 〈われわれ〉の文学の変化──山口公博「中村鉄男の日曜日」と善野?「旅の序章」
第三章 「開発の時代」と文学──玉田崇二「砂の居場所」
第四章 部落女性作家の登場
第五章 部落の外と内の差別──田村初美「雲のアンパン」
第六章 部落共同体のジェンダー体制──清原ふみ子「桜たより」と「神前橋わたって(改訂版)」
第七章 差別に対する批判意識と抵抗──まえだ摩耶「パーカーの万年筆」
おわりに
II 補論──中上健次と部落・部落解放運動
開発と共同・共生──中上健次の闘い
解放運動としての中上健次
III 対談「文学と部落解放運動」宮本正人×善野?
あとがき
[解説]近代・戦後の文学に新しい光を当て、解放文学の課題を探る 日野範之
【著者略歴】
1953年生まれ。高知大学文理学部文学科史学専攻卒業。その後、部落解放運動に参加し、2003年に人権NPOセンター・ゆめネットみえを立ち上げる。主な著書等に大川恵美子・語り/宮本正人・まとめ『大川恵美子「しゃベくりめくり」』(解放出版社、1988年)、『未来へつなぐ解放運動 絶望から再生への〈光芒のきざし〉』(明石書店、2013年)など。