商品説明
社会
【内容紹介】
◆『他者と働く』(「HRアワード2020」書籍部門最優秀賞)で
多くの読者の共感を呼んだ理論と実践をつなぐ経営学者、待望の書き下ろし
■人的資本経営、アジャイル経営、1on1、リスキリング、心理的安全性の向上……ビッグワードだけでは組織は変われない。
組織変革やイノベーションを妨げるメカニズムはなぜ、どのように生じ、どうすれば乗り越えられるのか。
「対話」や「ナラティブ・アプローチ」という手法を鍵に、実践と理論の両面から組織の問題に向き合い続けてきた経営学者が、現代の企業が直面する諸問題を構造的に読み解き、新たな企業変革のビジョンを提示する。
■「足元の業績はさほど悪くないが緩やかに業績が落ちている」「既存事業以外の領域で新たな事業開発ができていない」「変革疲れで現場が無力感に包まれている」「よいアイデアも他部署の協力が得られない」……。
あなたの職場ではいま、こうした問題が起きていないだろうか。
本書ではいま、多くの企業が直面するこれらの問題が、なぜ、どのようなメカニズムで生じるのかを、著者が実際に関わってきた様々な企業の変革の実践例などを紹介しつつ、人間の心理的側面を重視する広範な理論にも照らしながら、丁寧に読み解いていく。
■キーワードの一つである「構造的無能」とは、環境変化や事業機会に対して組織的に必要な行動が生じない、あるいは、組織能力と人的能力の欠落が、構造的・慢性的に起こることを指す。
それはたとえば、社内の士気が下がる→新規事業開発ができない→事業の幅が広がらない→効率性重視の分業体制が敷かれる→新規事業を軌道に乗せる上で必要なコンセンサスが得られない、といった組織の悪循環につながる。
■本書ではそうした問題の構造を、「多義性」「複雑性」「自発性」という3つの論点から丹念に掘り下げ、各事業部門のメンバー層、人事や経営企画などの部門、さらには経営層まで、広くそれぞれの立場と問題意識に寄り添いつつ、今多くの企業で必要な企業変革を実現するための道筋を示すものである。
■それと同時に、本書のもう一つの目的は、新たな変革の思想を示すことにある。
それは組織で働く一人ひとりが組織の中で自発的に自分の位置と役割を見出すことであり、今置かれた状況の中で、一歩ずつ地道な取り組みを続けることでもある。
この「今ここからの視点」の意義を問うことが、本書のもう一つのねらいである。
【本書の位置づけと対象読者】
著者の『他者と働く』(NewsPicks、2019)は組織のメンバー層を、2作目の『組織が変わる』ではミドル層を主な読者のターゲットとしてきました。
これらの著作に通底するのは、複雑な関係性の問題、例えば、自己と他者、あるいは、物事の理解と実践とのギャップをどう乗り越えるかという著者の問題意識です。
3作目となる本書ではさらに、人事、経営企画などのコーポレート部門や経営層の方々にも広く役立つ内容となります。
【目次】
はじめに 緩やかな衰退のなかで「経営」を考える
ドラッカーと企業の目的/ 対話とは何か/ 本書の目的
第1章 │ 企業変革とは何か
企業変革における4つの実践
本書の概要
第2章 │ あなたの職場で今起きていること──問題の二重性を理解する
経営企画部門の考え/ 経営層の考え/ 問題に気づき始めるプロセス/
既存の企業変革論と本書のスコープの違い──『V字回復の経営』と『企業変革力』/ 問題の二重性に気づく/
慢性疾患に陥る現代企業/ Column:適応課題としての企業変革
第3章 │ 構造的無能はなぜ起きるのか──組織の無能化のメカニズムを読み解く
キングスクロス駅地下鉄火災事故の教え/ 機会を逃す組織──B社の事例から/ 営業担当者Nの視点/ 事業部長の考え/
問題の全容がわからない/ B社で起きていることは何か/ 組織の断片化がもたらすもの/ 何が認知を固定化させるのか/
組織の無能化にどう対処するか/ インテル社の新規事業開発が示すことor強い戦略の弊害──インテル社の事例/
Column:慢性疾患と適応課題
第4章 │ 企業変革と対話──構造的無能を読み解く3つの視点
組織能力とは何か/ 対話とは何か/ 企業変革に対話をどう役立てるか/ 経営学からの示唆/ 経営とは対話であり、変革である/ Column:ナラティブ・アプローチによる実践
第5章 │ 「わからない」壁を乗り越える──組織の「多義性」を理解する
問題の多義性をどう見定めるか/ 行為環境に埋め込まれる企業──サウスウエスト航空の事例から/
イノベーションのジレンマはなぜ起きるのか/ 緩やかな変化は認知されにくい/ 「出島組織」の課題/
新規事業開発が進まない理由/ 過去の成功体験を紐解いてみる/ S社の事例(1)とオープンイノベーション/
Column:ドラッカー・保守主義・オープンイノベーション
第6章 │ 「進まない」壁を乗り越える──組織の「複雑性」に対処する
変革が進まない2つの理由
・進まない理由1 経営層の腹が決まらない
なぜ、施策実行に迷いが生じるのか/ 悪循環のなかで疲弊する組織/ 組織の構造的無能にどう取り組むか/
解決の糸口を探る/ S社の事例(2)──組織の重要課題に気づくための6つのプロセス/
「ポジティブ・デビアンス(ポジティブな逸脱者)」というアプローチ
・進まない理由2 他部門の協力が得られない
新規事業開発の意義/ 「既存事業の枠組みから抜け出せない」という問題にどう対処するか/
組織のコンセンサスをどう形成するか──リクルートとマイクロソフトの事例から/ コンセンサス形成に必要な視点/
問題を反転させて考える/ Column:センスメイキングと変革
第7章 │ 「変わらない」壁を乗り越える──自発性を育む
「組織が変わる」とはどういうことか/ 新規事業開発をどう推進するか──E社の事例から/ 投資の前提条件/
変革を実現するために欠かせない支援/ 相手の文脈から自分の事業を捉えなおす/ 「自発性」をいかに育むか/
フィードバックの重要性/ ストーリーテリングの力──病院変革プロジェクトの事例から/ 協応関係が自発性を生む/
「話し手は聞き手の言葉で語らなければならない」/ Column:野火的活動と企業変革
第8章 │ 企業変革を推進し、支援する
組織能力構築のための取り組み/ 変革支援機能の位置づけ/ 企業変革における4つの実践と必要な支援機能/
本書の概要企業変革における4つの実践と必要な支援機能/ 企業変革を支える「ケアの思想」
おわりに
参考文献
【著者略歴】
埼玉大学経済経営系大学院准教授
1977年生まれ。
専門は経営戦略論・組織論。
早稲田大学アジア太平洋研究センター助手、長崎大学経済学部准教授、西南学院大学商学部准教授を経て2016年より現職。
企業変革、イノベーション推進、戦略開発の研究を行うほか、大手製造業やスタートアップ企業の企業変革アドバイザーも務める。
経営学史学会賞(論文部門奨励賞、2007)受賞。