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日本エッセイ・随筆
【内容紹介】
既出の10本の中上健次論に加えて、書き下ろし「小説という出来事 「秋幸三部作」論」「枯木灘の波音」の二篇を収録。
中上健次生誕80年の年に、改めて、中上健次作品の可能性を拓き、「小説という出来事」とは何かを問う。
「中上健次が短すぎる生涯を閉じてから今日まで、三十五年ほどの時間が流れている。
本書には、その流れの節々で、求めに応じ、あるいは、みずから求めて筆を執った論評類が十二の章として収められている。
……ここにあるのは、それぞれ独立した個々の作品論・作家論であり、それを支えるいくつかの分析方法であるが、全体に共通するものがあるとすれば、それは、「出来事としての小説」とでもいうべき作品風土への関心となる。
古今東西、これまで無数の小説が無数の出来事を描いてきた。
だが、描くことそのものが一個の「出来事」であるような小説というものは滅多にみかけないし、潜在的な可能性を考慮に入れてもなお、それを書きえた作家というは、かつてもいまも、ごく稀少な例外として留まっている。
中上健次は、数少ないその有力な例外であるというのが、ここに筆を執る者の積年の確信だが、このとき、本書の目次はいわば、そうした中上健次の作品風土の、いくつかのポイントにむけらた「扉」のネームプレートのごときものとなる。
」(「まえがき」より)
【目次】
1 小説という出来事 「秋幸三部作」論 書き下ろし
2 「モン」の自由伝聞話法
3 秋幸と「路地」 「部落問題文芸」としての中上作品
4 命名の「謎」
5 かくも過激な「交錯線」 中上健次の「青春小説」
6 複数の生、多様な主体
7 無底の誘惑 『重力の都』をめぐって
8 濁った<水>と荒ぶる<炎>
9 未決の「天皇小説」 『異族』をめぐって
10 「直くたくましき性(さが)について」 上田秋成と中上健次
11 枯木灘の波音 生誕八十周年にむけて 書き下ろし
12 中上健次の一九六八年問題 路地・うつほ・がらんどう
【著者略歴】
1952年生。
文芸評論家。
『幻影の杼機 泉鏡花論』(国文社/河出書房新社)『リアリズムの構造 批評の風景』(論創社)『谷崎潤一郎 擬態の誘惑』(新潮社) 『日本近代文学と<差別>』(太田出版)『中上健次論 愛しさについて』(河出書房新社)『不敬文学論序説』(太田出版、ちくま学芸文庫)『かくも繊細なる横暴 日本「六八年」小説論』(講談社)『メルトダウンする文学への九通の手紙』(早美出版社)『日本小説技術史』(新潮社)『言葉と奇蹟 泉鏡花・谷崎潤一郎・中上健次』(作品社)『小説技術論』(河出書房新社)『 日本批評大全』(編著・河出書房新社)『日本小説批評の起源』(河出書房新社)『子規的病牀批評序説』(月曜社) 他多数。